さがしてみたい



 だって、まだ知らないことが沢山ある



たからさがし


 本と書類が処狭しと積み上げられた室内に、辛うじて存在するソファに大人しく座っていたアレンが急に声をあげた

 「リーバーさん、リーバーさん.」

 「どうした?」

 愉しげな声に自然にこちらの声も柔らかくなる.

 「これって何の鍵ですか?」

 指先でくるりと回されて、それはチャリンと音を立てた.

 アレンの手に遊ばれている鍵には確かに見覚えがあった.

 「どこにあったんだ?」

 その辺、とアレンが指した場所はやはり本と書類の寝床だった

 「もしかして、覚えてないんですか?」

 「うーん、ああ、」

 決まり悪そうに頭を掻く.

 アレンはクスクス笑いだした.

 つられて口元が綻ぶ.

 窓から射し込む陽がキラリ、鍵を瞬かせる.

 白い指に摘まれたその褪せた鍵が不意に綺麗に見えた.

 「気に入ったなら、それやるよ.」

 自分でも思いがけず口を突いて出た言葉.

 「いいんですか?」

 予想外に喜々とした声が返ってくる.

 とびきりの笑顔で喜ばれてしまえば返す言葉がない.

 「そんなんで良いのか?」

 「はい、リーバーさんがくれたものですから.」

 妙にくすぐったい気分になって、隠すように目を逸らせた.

 ふと思い返してみれば、彼に何か贈ったことがあっただろうか.  いや、なかった気がする.

 恋人からの初めてのプレゼントが得体の知れない古びた鍵だなんて、あまりに不憫ではないか.

 今更返せと言える訳もなく、ただ居た堪れない視線が宙を舞った.